目を使えば、それなりに目は疲れるものですが、目に異常があってそれが疲労の原因になっていることもあります。「休んでも疲労が取れない」「朝からでも疲れている」などは、ちょっと異常な疲れかもしれません。「この疲れは普通じゃないな」と思ったら、一度眼科で検査を受けてみましょう。何か異常が見つかるかも知れません。
「眼精疲労」は学問的には原因別に4つに分類できます。4つに分類したからといって差程のことはありませんが、とにかく病的な疲労も少なくないということです。
調節とは、ピント合わせのことで、瞳の中の水晶体を支える毛様体筋の仕事です。長時間の近見作業(読書・事務作業・パソコン・携帯電話など)は、この毛様体筋の疲労を招き、眼精疲労として自覚されます。また、軽度の遠視や老視は、毛様体筋が頑張ることで良好な視力となっているために、良い視力でありながら早く疲労を招く原因のひとつです。比較的短時間の近見作業で疲労感が出たり、ばやけて見えるようなら疲労が疑われます。
眼球の結膜(白目)の奥には、外眼筋と呼ばれる筋肉があります。この筋肉は、1個の眼球に6本ついていて、これらが伸びたり縮んだりして眼球がきょろきょろ動くんです。斜視(斜位)というのは、眼球の向きにずれがあることで、いつも余計に外眼筋に力を入れて目を真っ直ぐ向けているので、早く筋肉の疲れが来るのです。また、輻輳不全は、目の内寄せ(寄り目)が上手でない人で、高齢者によくみられる現象ですが、この場合も外眼筋により多くの力を必要とするために早く疲労が来るものです。疲れたときに物がダブって見える場合は、この疲労が疑われます。
左右の視力の差が大きい場合に起こる眼精疲労です。右目から入ってきた画像と左目から入ってきた画像を脳が処理をするわけですが、右左の画像が違いすぎると脳が上手く処理できずに頭痛や目の奥の痛みになるわけです。このような視力の左右差は、近視・遠視等でも起こりますし、白内障等の目の病気でも起こります。できるだけ視力の差を少なくするように視力矯正する必要があります。
眼科的病気(結膜炎、角膜炎、緑内障、白内障、ドライアイ、めぼなど)、全身的病気(高血圧、低血圧、更年期障害など)、歯科的病気、整形外科的病気などが原因となっている疲労です。目とは関係ないと思われるものが、眼精疲労の原因となっていることがあるんです。
眼精疲労の目薬は、市販品も含めたくさん御種類があります。しかし、どの目薬も大した変わりは無いと思いますから、あまり高価な物を使用する必要は無いと思います。ビタミンB製剤が含まれる点眼薬は、ピンク色をしていて、これは日光で分解されますから、暗所に保存して下さい。刺激的なしみる目薬は角膜を痛めることがあるので、あまり刺激的な目薬は避けた方がいいと思います。
一般的に、目を暖めた方が疲労からの回復は早いと思います。それは、疲労している目の筋肉の血行が良くなるからです。暖かい蒸しタオルがいいと思います。ストーブやヒーターで目を暖めるとドライアイ状態になるので逆効果です。また、充血しているような場合は、先の症候性眼精疲労である可能性がありますから、充血している場合は冷やした方が良いでしょう。いずれの場合も、暖め過ぎ冷やし過ぎには注意してください。