私たちががモノを見る時は、両目で見た画像を脳が一つのモノとして立体的に認識しています。この両眼でモノを見る力を「両眼視機能」といいます。両眼視機能が成立するためには、両眼が同じ方向を向いている必要がありますが、片方の目が目標と違う方向に向く場合があります。これを「斜視」と言い、子供の2%に見られる異常です。両眼視機能は、生まれてから獲得する感覚機能ですが、斜視があると片目でモノを見る癖が付き、両眼視機能が獲得できず、立体感や遠近感を感じにくい目になってしまいます。遅くとも2歳までに両目で同時に物を見る機会がなかったらこの能力は得られないと言われています。
斜視の種類は、原発性と続発性の2種類に分けられます。原発性は特に原因のない生まれつきの斜視、続発性は何か他の原因に引き続いておこる斜視を言います。
こどもの斜視のほとんどがこの原発性です。生まれた直後から見られる斜視もありますが、2~3歳ごろに出てくる斜視が大半です。目の使い方や生活に原因はありません。遺伝性もありません。
目はものを見るときにピント合わせを行ないます。近くを見る時には、目は内側に寄ります。強い遠視があると、このピント合わせを強くしないと見えないため目はかなり内側に寄ってしまい斜視になってしまうことがあります。これを調節性内斜視といいます。
病気やけがなどで視力の左右差が大きい場合、視力が良い目ばかり使うので、悪い方の目が斜視になることがあります。この場合は外斜視になります。
遠視による調節生内斜視や、近視の左右差による斜視では、メガネをかけることで斜視が治ることが少なくありません。この場合のメガネの度は、目の緊張(調節)を取る特殊な目薬を使うなど、精密に検査を重ねて決めなければなりません。眼科医に必ず相談下さい。
軽い斜視(斜位、交代性斜視など)の場合は、斜視訓練をすることで斜視を治すことが出来ます。定期的に病院に通い、特殊な器械で訓練をします。また、家庭での簡単な訓練を併用することもあります。
メガネや訓練で治らないような、重度の斜視に手術が行われることがあります。幼児では、大きな総合病院に入院して全身麻酔で行われる手術です。